平成30年度 卒業式式辞


       平成30年度 第22回卒業証書授与式 式辞

 本日ここに、多くのご来賓、並びに保護者の皆様のご臨席を賜り、北海道札幌国際情報高等学校 第二十二回卒業証書授与式を挙行できますことを、厚くお礼申し上げます。

 311名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。小中高校と続いた12年間の学校生活を終え、いよいよそれぞれの進路に向けて旅立つ時が来ました。素晴らしい成長を遂げられた皆さんが、これまで培った力で大きくはばたいてくれることを確信しております。また、保護者の皆様には、お子様の晴れの門出を心よりお祝い申し上げますとともに、本校の教育活動にこれまで格別なるご支援ご協力をいただきましたことに、深く感謝申し上げます。

 さて、平成が終わり、新たな時代を迎える年に、皆さんは高校卒業という人生の大きな節目を迎えました。高校卒業は、現役世代が次世代に「次の時代を頼んだぞ」という思いを引き継ぐ場でもあると思いますが、そんな皆さんに今一度考えてほしいこと、それは「どのように生きるか」ということです。
 言うまでもなく、人は一人では生きていけません。家族や友人、そして職場の人々の支えがあっての人生です。かのアインシュタインは、「人は人を幸せにするために生まれてくるのです。」と言いました。また、ある方は、人間の幸福について「人に愛されること、人にほめられること、人の役に立つこと、人に必要とされることだ。」と言っています。
 こんな話があります。ある中年の夫婦が、銀婚式を機に、これまでお世話になった方々に感謝の気持ちを込めて、お礼状を送ることにしました。結婚式に来てくれた皆さんが支えてくれたおかげだということで、礼状は、結婚式の出席者に向けて送られることとなります。 その中で、夫のお父さん、お母さんは既に亡くなっていたので、送り返されてくるのを承知のうえで、お墓の住所あてに送ったそうです。ところが、そのハガキは戻って来なかったというのです。
 時は流れ、いつしか次のお盆を迎えたとき、いつものようにお墓参りに行った夫婦は、そこで思いもよらないものを発見します。お父さんとお母さんのお墓の前に、いつか書いた礼状が大事そうに置かれていたのです。しかもそのハガキは、雨が降っても濡れないように、ビニールで何重にも包まれ、風が吹いても飛ばないように、大きな石を上に乗せてしっかりと固定されていました。全ては、郵便配達の方が差出人の思いを察して行ったことでした。
 私は、ここに、「いかに生きるべきか」の重要なヒントがあると思います。自分の生活や、将来社会的そして経済的に成功することに目先が行きがちですが、一番大切なことは、ありきたりの毎日の中で、周囲の人を思いやり、人に喜びを与えることなのではないでしょうか。そしてそこで得られる喜びが、自分自身の幸せにつながっていくのだと思います。難しいことかもしれませんが、自分を支えてくれる人たち、周囲の人たちに幸せを運べる人になってほしいと思います。
 その一方で、現実の社会にもしっかり対応していく必要があります。皆さんがバトンを受け継ぐ次の時代は、激変の時代、予測不可能な時代と言われています。少子高齢化、グローバル化、高度情報化していく社会のなかで、産業構造の変化や震災復興、エネルギー問題、安保、外交、世界経済問題等、国内外の様々な課題と対峙していかなければならない変革期を迎えています。
 そんな中で今後皆さんに期待したいのは、「しなやかでたくましい」人格です。社会や時代の変化、時には逆境に対して、しなやかに対応する力、多様な価値観を持つ周囲の人々とうまく人間関係を築いていくしなやかな人間性。様々な人種・文化等に対する理解や社会的・文化的に多国籍になっていくことに対するしなやかな考え、そして地球規模で平和的に暮らしていくための幅広い知見を持ち、民族・宗教等にからむ紛争が絶えない世界に日本独自の価値観で平和をもたらすしなやかな発想。そんなしなやかさをぜひ身に付けてください。
 そしてそれら「しなやかさ」を発揮するためには、確固たる教養・人格・価値観を内に秘めた人間的な「たくましさ」が必要です。外見は穏やかにやさしく振舞いながらも、心の中には何事にも左右されない強い意志を持っていること、いわゆる「外柔内剛」の精神です。

 日本人の長寿は世界トップクラスですが、長寿企業となると断然の世界一であるとのことです。少し前の調査ですが、世界で創業200年以上の企業は5,600社ほどで、このうち半分以上の3,146社が日本にあり、2位は837社のドイツだといいます。長寿企業に共通している第一は「環境の変化に敏感である」ということで、それは時代の変化に対応して柔軟に生き抜いてきた証だと言えます。その意味で、日本人はもともと類い稀なる「しなやかに」生きる力の備わっている民族なのかもしれません。
 
 卒業生の皆さんが、今後のグローバル社会において、自信を持って多様性の世界に生き、しなやかに時代を生きぬいて、日本の輝かしい未来を創っていってくれることを期待して、式辞とします。


平成31年3月1日               
北海道札幌国際情報高等学校長 榎本 敏生